「叱る」は本当に子どものためになる?|『〈叱る依存〉がとまらない』

本の紹介

「何度言ってもやらない」
「強く言わないと伝わらない」

そう感じて、つい子どもを叱ってしまうことはありませんか。
叱ったあとに、「また言いすぎてしまった」と落ち込むことはありませんか。

わたしがおすすめするのは、村中直人さんの『〈叱る依存〉がとまらない』です。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]〈叱る依存〉がとまらない [ 村中 直人 ]
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この本では「叱る」を、相手にネガティブな感情体験を与えることで、行動を変えようとする行為として捉えています。
子育てだけでなく、学校や職場などの「叱る」行為がなぜ効いたように見えるのか、なぜ繰り返されるのかを教えてくれる一冊です。

■「叱ることは本当に有効なの?」という疑問

わたしは昔から、「叱ることって有効な手段なのか」と疑問に思っていました。

わたし自身が、叱ることも叱られることも苦手だからです。

強く叱られると、体が固まり、動けなくなってしまうことがあります。
頭の中が真っ白になり、何を言われているのか考えられなくなることもあります。

そのような状態では、「次はどうすればよいのか」を考える余裕はありません。

また、叱られている子どもを見ていても、その場では行動をやめたように見えるものの、その後はあまり変わっていないように感じることがありました。

ペアレント・トレーニングやペアレント・プログラムをお伝えするなかでは、子どものできている行動を見つけて、認める関わりを大切にしています。

その一方で、「なぜ、叱ってはいけないの?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。わたし自身も、叱ることについて伝えるための根拠を知りたいと思っていました。

■叱ることが「効いたように見える」とき

本の中には、しつけにおいて「叱ること」や「罰」が果たす役割は、ごく限られているという趣旨の説明があります。

この部分を読んだとき、わたしは「やっぱり、そうだったんだ」と感じました。

叱られた子どもが黙ったり、その場で行動をやめたりすると、叱った側は「伝わった」「行動を正せた」と感じやすくなります。

けれど、子どもは納得して行動を変えたのではなく、怖さから動けなくなっただけかもしれません。叱られないように、その場をやり過ごしただけかもしれません。

困った行動が起きた理由や、次にどう行動すればよいのかが分からないままなら、同じことが繰り返される可能性があります。

叱ることは、その場の行動を止めることはあっても、根本的な解決にはつながりにくいのだと思います。

この本は、わたしがこれまで感じていた違和感を、言葉にして捉え直す手がかりになりました。

■なぜ、叱ることを繰り返してしまうのか

本書では、叱る行為が脳の「報酬系回路」と結びつき、繰り返されやすくなる仕組みについて説明されています。

叱ったあとに相手が従うと、「自分の言葉で相手を変えられた」という感覚が生まれます。

また、相手が従うことで、「自分の働きかけが届いた」「正しいことを伝えられた」という手応えや安堵感が生まれることも、叱る行為を強める一因になるのかもしれないと感じました。

これは、叱る人の性格が悪いという話ではありません。

叱ることには一時的に「効いた」と思わせる力があるからこそ、誰でもその方法を繰り返してしまう可能性があるのだと思います。

■子どもを「対等な一人の人」として見る

わたしが大切にしたいのは、子どもを「対等な一人の人」として見ることです。

「叱らない」というのは、必要なことを何も伝えない、何でも許すということではありません。危険なときに、強い声で行動を止める必要がある場面もあります。

子どもにも、一人の人として、その子なりの思いや理由があります。

その子に分かりやすい言葉で具体的に伝える。行動しやすいように環境を整える。少しでもできたことを見つけて認める。

一人ひとりに合った伝え方や関わり方を考えることが大切です。

■叱ってしまった自分を責めないで

「叱ることがよくないなら、叱ってしまう自分はダメな親なの?」

そう思った方もいるかもしれません。けれど、どうか自分を責めないでほしいと思います。

イライラして強く言ってしまうことは、誰にでもあります。大人も、困った場面でどう対応したらよいのか分からないことがあります。

叱る以外の方法を知らなければ、これまで見聞きしてきた方法に頼ってしまうのも無理のないことです。

大切なのは、「二度と叱らない」と完璧を目指すことではありません。叱る以外の伝え方を、一つずつ増やしていけばよいのだと思います。

■今日ひとつ試してみるなら

叱りたくなったとき、「何をしてほしいのか」を、短く具体的な言葉に置き換えてみるのもよいかもしれません。

たとえば、「走らないで!」を「ここでは歩こう」に変えてみる。まずは一つだけでも大丈夫です。

叱ってしまう自分を責めるためではなく、叱る以外の選択肢を増やすために、手に取ってほしい一冊です。

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